〜ネギを背負った鴨とタコのブログ〜

衝動買いしてしまった写真機材についての購入経緯及び有用性の検証と考察、並びに日々の戯言などなど

Birth year Leica

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。

 

紀貫之土佐日記である。貫之先生は仮名で日記を書いてみたかった。いや、すでに書いていたのだが仮名で書いてるよ!となかなか言い出せなかったんだろうな。

私も今更、実はライカ使ってみたいのですが、とはなかなかいい出せませんから、、、

 

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昭和10年製Leica Ⅲと昭和17年製Summitar 5cm f2

 

今まで敢えて見ないふりをしてきたのだ。手を出すにはそれなりの理由が必要であった。そうだ、両親の生まれた年のカメラとレンズで写真を撮ってあげなきゃ!健在なうちに!早く買わなきゃ!でもどうやって?

 

銀座の某店へ。意味もなく店内を軽く一周流してから、今まで素通りしていたライカのショーケースへ向かう。この日のためにネットと本で勉強してきた”バルナックライカ”が、思ったより少ない数だが陳列されていた。親切なことに製造年も値札に記載されている。目当ての1935年のⅢaは残念ながらなかったが、カッコええなぁと思った1934年製の黒のDⅡと、とても綺麗な1950年代製のⅢfを触らせてもらうことにした。恐る恐る店員さんを呼ぶ。それでもって気づく、

「ⅡとかⅢってなんて発音したらええんねん?ツー?にぃ?まさかセカンド??」

温和な表情の店員さんに、しょうがないので指差ししながら2機種をケースから出していただく。

「ディーツーとスリーエフですね。」

そうか、英語やねんな。あぶなかった、「でぃーに」とか「さんエフ」ゆうてまうとこやったわ。

「レンズは如何されますか?」

来たっ!ここは平然と

「あっ、じゃぁとりあえずそのエルマー5センチでお願い致します。」

目の前に鎮座している2台のバルナックライカとelmar5cmにプレッシャーをかけられているようだ。ほら、何してんの?ライカ触ってみたかったんでしょ?早く触ってみたら?まさか扱い方知らないんじゃないよね?

「どうぞ、お手に取られてみてください」

あぁ、もうだめだ。ここは正直に伝えるしかない、、、

「レンズはどう装着すれば良いのです?実はライカ触るの初めてなんです、、、」

 店員さんは温和な表情を決して崩さず、本当に丁寧に僕にバルナックライカの基本操作を教えてくれた。想像を絶するちっちゃなピント合わせのファインダー。それとは別に、でもやっぱりちっちゃなフレーミング用のファインダー、大体これほんまに50ミリなんか?あと、なぜフィルの先を細く切らねばならないかなどなど。

いや、思ってた以上に面倒くさくて大変だわ。とにかくファインダーがちっちゃすぎる。見えへん!!

でも、全然楽しい!一眼でマニュアルピント合わせするのとは全く別次元の楽しさだ。そしてシャッター音がいい、特にDⅡ、コトリ。大きさも絶妙、手で包み込む感じ。個人的にはⅢfよりDⅡの方がいいかなぁ。そして、最大の悩み所は意外なことにも色だった、、、

黒、カッコよすぎる!

店員さんに1935年と1942年製のカメラとレンズ、カメラはできれば黒がいいこと、DⅡの方が手に馴染んだことをお話しした。、

「1935だとDⅢかⅢaですね。黒も時々出てきますよ。1942はあまり見かけないなぁ。あとファインダーですが、皆さんこの外付けファインダーを結構利用されていますよ。これ本当に綺麗で見やすいですよ。」

そりゃそうだわ。1942年って、ドイツも日本も戦争中でしかも形勢が徐々に逆転していく頃だから、

カメラとかレンズとか作ってる場合じゃぁなかったのかも。

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この日は店員さんにお礼を言って何も買わずに、いや1点、現実をはるかに凌駕した世界が見えてしまった丸い外付けファインダーだけ包んでもらって店を出た。

とにかく黒のバルナック欲しい!!モードになっていた。標的は定まったのである。

 

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先に手に入れたのはレンズである。シリアル番号が正しければ、1942年製Sumittar 5cm。eBayで見つけました。レンズを触りもしないでネットで買うのは初めてでした。シリアル番号だって正しいものかわからないけど、これも何かの縁だといいように解釈して落札。そもそも戦前のレンズなんだからあまり期待はしていなかったのだがとても綺麗で、小振りなのにずっしり感あり。初めて目にする大陸絞り、最大絞値f12.5って、、、

 

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そして本体を見つけました。やはりeBayでドイツのカメラ屋さんが出品していた1935年製、黒のDⅢ+Summar 5cm。レンズ付きだったので予算オーバー、2回ぐらい諦めた。でも「ここで逃すと二度と出てこないかも、、、」といつものように都合の良い解釈が優勢になり、、、

 

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カッコいい、、、特にファインダー、沈胴スタイルのレンズにマッチしていると思う。

カメラの上部にはちっちゃな穴が開けられていて、シンクロ接点が取り付けられています。製造されて82年も経てば、そりゃいろいろあるだろうなぁ。因みにシンクロコードでCanonのスピードライトをつなげてシャッターを切ってみたところ、バシッと閃光が。機能しています。戦前のバルナックにわざわざX接点をつけちゃうとは、以前のオーナーさん、一体何を撮ってたんだろうか?

 

とりあえずアダプターつけてFujiのデジカメで撮ってみました。

    f:id:drake_w_chive:20170702210448j:plain      Summitar 開放

 f:id:drake_w_chive:20170702210457j:plain      Summitar f6.3 EVがずれてしまったかも

    f:id:drake_w_chive:20170702212830j:plain      Summar f2.2ぐらい    

    f:id:drake_w_chive:20170702212838j:plain      Summar f6.3 

 

今から四半世紀以上前のカメラとレンズが、普通に使えてしまう。そもそも電池いらないし。

 

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今回一番驚いたアイテム、 SBOOI

ファインダー越しに見る世界は、現実よりもクリアに見える、、、

ライカ、恐るべし